The Professionals

~ハイリスク患者の診断と治療戦略を探る~

  • 日時:
    • 6/22(土)09:00-13:00
  • 場所:
    • インタラクティブアリーナ
  • 本セッションでは疾患の診断が困難であった症例やハイリスク症例に対する治療戦略をエキスパートと共に探ります。
    適切な診断に難渋した症例、原因不明の疾患、治療すべきかの判断に迫られた症例が全国から集まりました。

    Professional Cases

    井山 慶大 先生
    長崎大学病院
    循環器内科
    井山 慶大 先生

    CASE①
    突然の胸痛と呼吸困難に襲われた男子高校生

    症例は10歳代の男子高校生。バスケットボール部に所属しており、健康な高校生であった。
    ある日、階段を上ると胸痛と呼吸困難が出現し、休憩することで症状は改善した。その後もクラブ活動中に同様の症状が軽度の準備運動で出現したため、近隣の診療所を受診し、その後精査加療目的に当院へ紹介受診となった。

    来院時身体所見

    • 身長 : 172 cm
    • 体重 : 52 kg
    • 血圧 : 134 / 41mmHg
    • HR : 64 /分
    • SPO2 : 98%
    • 心音 : LevineⅣ 収縮期心雑音
    • 肺音 : 鮮明
    • 下肢浮腫なし

    既往歴

    • なし

    家族歴

    • 母:乳癌、心血管疾患なし、脂質異常症なし、突然死なし

    突然の胸痛と呼吸困難に襲われた男子高校生。その原因は何を疑う?行うべき検査は何か?

    山村 遼 先生
    福井県立病院
    循環器内科
    山村 遼 先生

    CASE②
    化学療法後に発症した肩甲骨痛の症状を主訴に受診した40歳代若年女性の一例

    症例は40歳代前半の女性。37歳で左乳がん手術、40歳で右乳がん手術を施行。
    多発肺転移、脳転移で再発、化学療法(Bevacizumab(アバスチン®)、Paclitaxel(タキソール®))8kur施行し、CR; Complete Response 完全奏功(腫瘍の消失が4週間以上)となった。2ヶ月ほど前から5分程度持続する肩甲骨の痛みを自覚。鎮痛薬で改善しないため、救急部を受診した。過去喫煙歴はあるが、心疾患の家族歴もなく、その他冠危険因子はない。

    既往歴

    • バセドウ氏病、乳がん(手術歴、化学療法、頭部放射線療法後)

    内服歴

    • 特記事項なし

    冠危険因子

    • 過去喫煙歴あり(32歳時に禁煙, 20-30本×12年間)

    家族歴

    • 心疾患の既往なし

    アレルギー

    • 特記事項なし

    採血検査データ

    T-bil 0.7 mg/dl TP 6.8 g/dl
    AST 29 U/L Alb 4.5 g/dl
    ALT 27 U/L HbA1c 5.5 %
    CPK 205 U/L T-cho 237 mg/dl
    CK-MB 15.8 U/L HDL-cho 48 mg/dl
    BUN 8.3 mg/dl TG 97 mg/dl
    Cre 0.41 mg/dl (eGFR 129.2) LDL(F式) 170 mg/dl
    Hb 12.3 g/dl TnT 0.05 ng/ml
    Plt 30.5 万/μl D-dimer 0.277 μg/ml

    来院時心電図所見

    来院時心電図所見

    胸腹部造影CT

    胸腹部造影CT

    胸腹部造影CT

    診断は何を疑うか? 治療方針は? 化学療法との因果関係はあるのか?

    飛田 一樹 先生
    湘南鎌倉総合病院
    循環器科
    飛田 一樹 先生

    CASE③
    下肢指先の潰瘍を主訴に受診した10歳代前半の男児の一症例

    症例は10歳代前半の男児。
    約3ヶ月前から指先の冷感の自覚症状があり、右足趾第1指と第4指に潰瘍が出現し、バージャー病疑いにて当院をご紹介と至った。LDHが554 IU/I、CRPが0.61mg/dL、中性脂肪が582mg/dLと高値であったが、その他採血データで異常はなかった。

    身体所見

    • 身長150㎝、体重50kg、BMI 20.8、血圧113mmHg
      聴診異常所見無し
      右第1趾/4趾に 1cm×1cm の潰瘍あり
      ABI: 0.89 / 1.06
      SPP: Rt 30 / 36 mmHg, Lt 65 / 65 mmHg
      ECG: 正常洞調律
      心エコー: 壁運動異常無し、構造的心疾患無し

    冠危険因子

    • 無し

    採血検査データ

    WBC 9400 /μl AST 41 IU/l
    RBC 526×104 /μl ALT 23 IU/l
    Hb 14.1 g/dl LDH 554 IU/l
    Plt 30.8×104 /μl BUN 15.2 mg/dl
    Neu 63.2 % Cre 0.54 mg/dl
    Lym 30.4 % UA 3.8 mg/dl
    Mono 4.5 % Na 137 mEq/l
    Eos 1.8 % K 3.7 mEq/l
    Baso 0.1 % CRP 0.61 mg/dl
    PT-INR 0.92 Glu 105 mg/dl
    APTT 26.7 sec HbA1c 5.5 %
    Fib 339 mg/dl T-Cho 223 mg/dl
    FDP 4.3 μg/ml TG 582 mg/dl
    D-D 0.8 μg/ml LDL-C 106 mg/dl
    ATⅢ 104 % HDL-C 44.0 mg/dl
    CK 106 IU/l NT-pro BNP <5 pg/ml
    TP 7.8 g/dl BNP <2.0 pg/ml
    Alb 4.4 g/dl  

    診断は何を疑うか? 足潰瘍の原因は何を疑うか? 追加すべき検査は?

    石山 将希 先生
    三重大学
    循環器内科
    石山 将希 先生

    CASE④
    原因不明のまま急性心不全を繰り返す50歳代男性の一例

    精神疾患のため近医に通院中、X-1年7月、9月、10月に合計3回、肺水腫を伴う急性心不全のため近隣の総合病院に緊急入院となった。
    非閉塞性肥大型心筋症および冠攣縮性狭心症による心不全が疑われ、薬物治療が開始された。X年2月に4回目の急性心不全を発症し入院となった。NPPV装着によりすみやかに軽快したが、入院中のトレッドミル負荷検査中に急性心不全を発症した。NPPV装着およびノルアドレナリン投与で改善した。急変約10分後の心エコーでは軽度~中等度の僧帽弁閉鎖不全症を認める以外に特に異常を認めなかった。さらなる精査目的に当院に転院となった。

    既往歴

    • 小児期の入院歴なし、検診歴なし

    家族歴

    • 突然死なし、姪: 先天性心疾患

    嗜好歴

    • タバコ 20本/日 × 36年、アルコール 機会飲酒

    内服薬

    • ビソプロロール、ジルチアゼム、エスゾピクロン、ラメルテオン、クエチアピン

    Vital signs

    • 意識清明、血圧 102/78mmHg、脈拍 64回/分、呼吸回数 15回/分、体温 36.3℃

    頭頚部

    • 貧血なし、黄疸なし、頸静脈怒張なし

    胸部

    • 心音 整、雑音なし、バルサルバ負荷: 収縮期雑音なし
      呼吸音 清、左右差なし

    腹部

    • 平坦軟、圧痛なし、腸蠕動音正常

    四肢

    • 明らかな浮腫なし

    心電図

    心電図

    胸部レントゲン

    胸部レントゲン

    行うべき検査は? 診断と治療方針は?

       宮原 眞敏

    CASE⑤ 
    非定型胸痛を繰り返す超若年男性の1例

     


      宮原 眞敏(三重ハートセンター


    症例は20歳代男性で、高校時代は野球部に所属していた。
    2ヶ月ほど前から労作とは無関係に数秒間の胸痛を認めるようになった。父親が32歳の時にCADでバイパス術を受けているが、翌年突然死しており、母親が心配し付き添われて当センターを受診した。


    身体所見



    体重69-70kg、身長173cm(BMI 23)、心音清整で心雑音なし、下腿浮腫なし。その他、身体的特徴なし。




    来院時心電図



    宮原 眞敏





    UCG



    No segmental asynergy
    LVDd(s) 54(34) 、 EF 66、 LAD 34、LVH(-)、Valve intact
    No pericardial effusion




    頸動脈エコー



    両側とも明らかな IMT肥厚(-)、プラーク(-)



    採血



    ALT 38、UA 7.9、LDL-C 157、CRP 0.11



    家族歴



    父(CABG)、祖父(PCI)、大伯母(CABG)


    20歳の超若年症例に対し、胸痛の原因は何かを疑い、この後にまず進めるべき検査は何か?


       佐藤 亮太

    CASE⑥ 
    突然の下肢脱力を伴う70代男性の救急症例

     


      佐藤 亮太(浜松医科大学


    症例は70代の男性。昨年11月、午前3時頃にトイレへ起き立ち上がったところ、急に下肢の脱力が生じ、この様な症状の経験は初めてであったため救急要請し、当院に搬送された。この時、意識が遠のく感じや悪心などの症状は伴っていない。


    来院時心電図



    佐藤 亮太

    121bpm、洞性頻脈→Ⅱ、Ⅲ、aVf  hyper acuteT、完全房室ブロック。



    採血データ



    WBC 10880/μl Na 130mEq/l LD 173U/ml
    RBC 327X10^4/μl K 4.8mEq/l AST 16U/ml
    Hb 9.4 g/dl BUN 34.7mg/dl ALT 13U/ml
    Plt 33.6X10^4/μl Cre 0.93mg/dl CK 64U/ml
    D-ダイマー 1.2 μg/ml Alb 3.1g/dl CRP 2.60mg/dl
    PT-INR 1.08 トロポニン <0.015ng/ml




    既往歴



    右肺腺癌、左肺癌術後、中咽頭癌術後、虫垂炎術後、腸閉塞後、右鼠径ヘルニア




    主な現症



    血圧 71/51 mmHg、脈拍 106 回/分、体温 36.0 ℃,SpO₂ 99%(RA)。眼瞼結膜蒼白、心音整、心雑音なし、右肺呼吸音減弱、腹部平坦軟、圧痛なし、反跳痛なし、tapping painなし、血管雑音なし、下腿浮腫なし、四肢冷感あり、直腸診:黒色便


    下肢脱力の原因は何か? この後追加すべき検査項目は?